「Just Keep Buying 自動的に富が増え続けるお金と時間の法則」は、貯めるか、投資するか?という問いに対して、データサイエンティストである著者が、データに基づく実践的アドバイスとして「とにかく買い続けろ」と答えている、実にシンプルかつ強力な資産形成の戦略書です。
本記事では、同書のほか、最新の世界中でいま読まれている、投資本を紹介します。
- Nick Maggiulli著『Just Keep Buying』の主なポイント
- 2026年注目の投資書籍
- Morgan Housel著「The Psychology of Money 一生お金に困らない富のマインドセット」
- Bill Perkins著「Die With Zero 人生が豊かになりすぎる究極のルール」の哲学
- JL Collins著「The Simple Path to Wealth(2024年改訂版) 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」はFIRE志向に人気
- Kristy Shen & Bryce Leung著「Quit Like a Millionaire」 数学的アプローチでFIREを実現する
- Tony Robbins著「Money Master the Game」が再評価されている 富の原則と戦略をインタビュー形式で紹介
- Thomas J. Stanley著「The Millionaire Next Door となりの億万長者」 地味で堅実な富の築き方を指南
- まとめ
Nick Maggiulli著『Just Keep Buying』の主なポイント
本書の核心は、シンプルで単純なメッセージである、「Just Keep Buying(とにかく買い続けろ)」です。
市場が下落したタイミングを狙ったりするではなく、定期的に投資を続けることが最も効果的だと言っています。
いわゆるドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging)を推奨しています。
これは、価格に関係なく、一定額を継続的に投資することです。
機械的に自動的に積立購入することで、感情的な判断ミスを避けらることができます。
20代30代は収入を増やすことに専念する
「自動積立しろ」だけだと1行で済んでしまいます。
ちゃんと人生のステージに応じたアドバイスが書かれています。
20代、30代といった若いうちは、まずは貯蓄力を上げること。これすなわち、「収入を上げ続けろ」ということです。
人生の序盤は入金力です。
何に投資するかより、まずは収入を上げ、貯蓄率を上げることに力を注ぎなさいと言っています。
何をいつ買うか、投資戦略
収入を上げ、貯蓄率を上げたら、次は何をいつ買うかという話になります。
これには、市場のタイミングを読むことは不可能で、むしろ「今すぐ買う」方が長期的に有利であると説いています。
株式市場は長期的な視線でみれば上昇する傾向にあり、とにかく早く始めて長く続けることが鍵になります。
投資の対象は、株式や債券、不動産、インデックスファンドなどの収益を生む資産です。
投資の割合には完璧なバランスなど存在せず、試行錯誤したり悩む時間が無駄である、とにかく投資をはじめることが重要と言います。
若いうちは株式中心でOKで、割合より継続です。
年齢が上がっていくにしたがってリスク許容度を調整していけばよいのです。
自動化する
常に市場を監視し、資産残高を見続けているのはストレスです。
貯蓄疲れ、投資恐怖症に陥らないよう、自動化と習慣化を導入します。
感情にいっさい左右されず、ルールに基づいて自動的に積立するのが成功のカギになります。
お金を増やすことが目的ではなく、自由を得るための手段として投資するのだとして捉えましょう。
2026年注目の投資書籍
つぎに、2026年注目の世界中で読まれている投資本を紹介します。
Morgan Housel著「The Psychology of Money 一生お金に困らない富のマインドセット」
モーガン・ハウセルのこの本は、お金の扱い方は知識よりも「行動と心理」が重要だと説いています。
数字や戦略よりも、感情や習慣こそが富の形成に大きく影響するというのがポイントです。
- 合理的より「納得できる」行動
自分が安心して眠れる選択の方が長期的に成功しやすい - 貯蓄は目的がなくてもOK
将来の不確実性に備える「余白」としての貯蓄が重要 - 長期投資と生き残る力
市場の波に飲まれず、耐える力が富を築く - 他人のゲームに乗らない
人それぞれ。お金に対する価値観やゴールは異なる。他人の成功例を真似せず、自分のゲームを理解する - 運とリスクの理解
成功には運が絡み、失敗にはリスクが潜む。コントロールできないが認識はできる
Bill Perkins著「Die With Zero 人生が豊かになりすぎる究極のルール」の哲学
「Die With Zero」は、まるで人生を再設計するような書籍です。
Die With Zeroの核心ポイント
- 目的
お金を貯めることではなく「人生の充実度を最大化する」こと - 経験に投資せよ
お金は「思い出の配当」を生む道具。若いうちにしかできないことに使え - タイムバケットを作る
バケットリストは映画「最高の人生の見つけ方」で広く知られるようになった。人生を年代ごとに区切り、それぞれの時期に最適な経験を計画する - ゼロで死ぬことを目指す
資産を残すことよりも、自分の人生をフルに使い切ることがゴール - お金と時間のバランス
時間は有限。お金があっても使う体力や気力がなければ意味がない - 子どもや慈善への贈与はタイミング
遺産として残すよりも必要な時期に渡す方が社会的・心理的インパクトが大きい - 人生、オートパイロットで生きない
無意識の習慣に流されない。意図的に選択する - 成長限界を知る
いつまでも資産を増やそうとせず、使い切るフェーズに移行するタイミングを見極める
この本は資産運用の方法論というよりは、人生設計のデザイン書です。
時間・体力・資金のバランスを取る哲学が詰まっています。
JL Collins著「The Simple Path to Wealth(2024年改訂版) 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」はFIRE志向に人気
2024年に洋書で改訂版が出た「The Simple Path to Wealth 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」は、ザ・資産形成マニュアルという感じです。
FIREを目指す人に人気がある書籍になってます。
同書の核心ポイント
- 経済的自由はシンプルな道で手に入る
- 収入より少なく使い、差額を投資に回す
- 借金は自由を奪う
- 市場全体に乗ることで、個別株のリスクを避けつつ、長期的な成長を享受する
- 会社や社会の理不尽に「No」と言えるだけの資産をつくる
- 市場を予測しようとしない
- 2024年改訂版追加は、引き出し戦略とドルコスト平均法の再評価
FIREを目指す人に向けて、人生の各フェーズごとの資産戦略が整理された書籍です。
複雑な金融商品や予測を排除し、最小限の手数で最大限の自由を得るという哲学がみえます。
Kristy Shen & Bryce Leung著「Quit Like a Millionaire」 数学的アプローチでFIREを実現する
「Quit Like a Millionaire」(Kristy Shen & Bryce Leung著)は、まるで「脱・労働戦略」な感じのする書籍です。
Quit Like a Millionaireの核心ポイント
- 誰でも数式と戦略で経済的自由を達成できる
- 「貧困からの脱出」は再現可能
著者自身が中国の貧困層からカナダで早期リタイアを達成した経験をもとにしている - 教育=投資回収率で選ぶ
大学や職業選択は「感情」ではなく「ROI(投資対効果)」で判断する - 支出を最適化し、幸福を最大化する
節約は我慢じゃない。不要なことの削除。お金を使わずに満足度を高める方法を多数紹介 - 投資はインデックスファンド中心
低コストファンドを活用して、複利と時間で資産を増やす - 「安全な引退」は4%ルールで設計可能
年間支出の25倍を貯めれば、資産を取り崩しながら生きていける - 地理的アービトラージを活用
生活費の安い国に移住して、資産の寿命を延ばす
この本は、単なる投資や節約術ではなく、人生の自由を設計する戦略書です。
教育や支出・投資・移住を組み合わせて、自由を最大化します。
Tony Robbins著「Money Master the Game」が再評価されている 富の原則と戦略をインタビュー形式で紹介
再評価されている「Money: Master the Game」(Tony Robbins著)は、金融を再設計する7つのステップです。
Money: Master the Gameの核心ポイント
- 誰でも金融のゲームをマスター可能
- 自動化された貯蓄システムを構築
「収入→消費→残りを貯蓄」ではなく「収入→先に貯蓄→残りを使う」構造に - 金融業界の仕組みを理解して手数料の罠を避ける
多くの投資商品は構造的に顧客不利で、手数料や複雑な仕組みを見抜く力が必要 - 資産配分(アセットアロケーション)を最適化
レイ・ダリオ「オールウェザー・ポートフォリオ」など、リスク分散の設計を紹介 - リスクと報酬の心理を理解
投資判断は感情に左右されがち - 富の定義を再構築
「選択の自由」「時間の余裕」「感情の安定」が富の本質 - 成功者の知恵を活用
バフェットやダリオ、アイカーンなど50人以上の金融専門家から得た知見を活用する - 人生の目的と富の使い方の一致化
ボランティア活動や家族との時間など、出口設計も重要
この書籍は、金融の複雑さをわかりやすく再設計する手助けをしてくれます。
Thomas J. Stanley著「The Millionaire Next Door となりの億万長者」 地味で堅実な富の築き方を指南
「The Millionaire Next Door」(Thomas J. Stanley & William D. Danko著)は、一見すごく地味ですが、堅実な資産構築の指南書です。
となりの億万長者の核心メッセージ
- 本物の富は質素な生活と構造的習慣から生まれる
- 見た目ではわからない富
多くの真の富裕層は、派手な生活をしない - PAW 対 UAW
PAW:収入に対して資産を多く蓄積している人
UAW:収入は高くても資産が少ない人 - 収入より支出管理が重要
高収入でも浪費すれば富は築けない - 自営業者やオーナー経営者が多い
真の富裕層の多くは自営業者やオーナー経営者 - 親からの経済的援助は逆効果
子どもへの過度な援助は富の蓄積を妨げる - 計画と自己規律が富の鍵
富は運じゃない。計画や節約、長期的視点の積み重ね
浪費ばかりする派手な暮らしをしていたら真の富裕層になれないという書籍です。
富とは見せびらかすものではなく、静かに積み上げるものと説いています。
まとめ
「Just Keep Buying」と他書籍の共通点を挙げると、
- シンプルな行動原則(自動化や継続、感情排除)
- データや心理学に基づくエビデンス重視
- FIREと親和がある
- お金は自由の手段であるという哲学
があります。
手段と目的を間違えないこと、実はシンプルであること、心の安定が大切であること。

