クジラの泳ぎ方 資産バランスの美学

クジラ(機関投資家)の泳ぎ方 資産バランスの美学 投資

世界はクジラがまわしている。

世界的な”クジラ”と呼ばれる、機関投資家が桁違いな巨額な資金を金融市場で運用している。

個人投資家が何をいくら買おうが売ろうが、クジラに対するイワシみたいなものだ。市場に与えるインパクトが違う。

世界のクジラ機関投資家トップ10

世界的な超巨大な機関投資家をここで10挙げてみると、そのほとんどは年金や保険などの資産運用会社だとわかる。

機関名拠点特徴
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)日本世界最大の年金基金。約190兆円以上を運用
BlackRock米国世界最大の資産運用会社。ETF運用でも圧倒的存在感
Vanguard Group米国インデックス運用の先駆者。個人投資家にも人気がある
Fidelity Investments米国アクティブ運用に強み。リサーチ力が高評価
State Street Global Advisors米国ETF「SPDR」シリーズで有名。年金運用に強い
UBS Asset Managementスイスグローバルな富裕層向け資産運用に強み
Allianz Global Investorsドイツ保険系資産運用の巨人。長期運用に定評がある
BNP Paribas Asset ManagementフランスESG投資にも積極的。欧州系の代表格
Amundiフランス欧州最大級の資産運用会社。年金・保険系に強みがある
Canada Pension Plan Investment Board(CPPIB)カナダカナダの公的年金運用機関。インフラ投資にも積極的

GPIF型・クジラの資産バランス(基本構成)

世界的なクジラ機関投資家が好む代表的な金融資産バランスは、意外とシンプルになっている。

たとえばGPIF(日本の年金積立金管理運用独立行政法人)を例にすると、以下のような基本ポートフォリオが採用されている。

この”25%×4分散型”は、リスクとリターンのバランスを取るための黄金比とも言われている。クジラ機関投資家が考えぬいた安定の資産バランスであり、個人が長期投資するときにとても参考になる。

シンプルイズベスト。

資産カテゴリ基本配分比率備考
国内株式25%日本企業に長期投資。内需・輸出バランスを意識
外国株式25%米国・欧州・新興国など。通貨分散を兼ねる
国内債券25%安定収益源。金利変動リスクを抑える役割
外国債券25%グローバル金利環境に対応。為替ヘッジも検討対象

他のクジラ(BlackRockやVanguardなど)も、基本的にこのような株式・債券のバランス型をベースにしている。

ETFやオルタナティブ資産(不動産・インフラ・プライベートエクイティ)を加えることで、収益源の多様化を図っていることがある。

クジラの代表的なサテライト投資領域

クジラ機関投資家が行うサテライト投資は、ローリスク運用のコア資産(株式・債券)に加えて、リスクを取ってリターンを狙う“遊撃部隊”のような存在だ。

構造的には、安定運用の「幹」+成長探索の「枝」というイメージになる。

たとえばGPIFは、コア資産の比率を守りつつ、インフラファンドやESG投資をサテライトとして活用している。

BlackRockやVanguardも、PEやREITを組み込んでリスク分散と収益源の多様化を図っている。

投資対象目的備考
不動産(REIT含む)インフレヘッジ+安定収益都市型オフィス・物流施設など
インフラ資産長期安定収益+社会貢献空港・高速道路・再エネ発電所など
プライベートエクイティ(PE)高リターン狙い非上場企業への直接投資。流動性リスクがある
ヘッジファンド市場中立・裁定取引ボラティリティ対策や特殊戦略
コモディティ(資源・金属)インフレ対策・地政学リスクヘッジ金・原油・レアメタルなど
仮想通貨・デジタル資産新興市場へのアクセス一部クジラはすでにビットコインETFに配分
ESG・インパクト投資社会的リターン+ブランド戦略環境・社会・ガバナンス重視の企業群

コアの太い幹にいくつかの自由に伸びる枝ぶりを展開している感じと言えそう。

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