米国在住者が日本株に投資するときの税金の話
〜配当の源泉徴収・権利落ち前売却・Wash Sale・長期優遇税率〜
米国在住のアメリカ人が日本株に投資する場合、配当や売却益に関する税金の扱いが日本とちょっと少し違う。米国在住者目線で日本株の税金を考えたときのポイントを整理しときます。
1. 日本株の配当には源泉徴収がある
米国居住者が日本株の配当を受け取ると、日本側で源泉徴収される。
- 日米租税条約により、一般的な個人投資家の場合は10%
- 条約適用には事前の届出が必要な場合があり、手続きが面倒
- 米国側では外国税額控除を申請できるが、確定申告の手間が増える
これに対して「配当の権利確定前にいったん売ってしまう」人が一定数いる。源泉徴収や確定申告の手間を避けるための動き。
ちゃんとしてないケース(証券会社が条約適用手続きをしてない、登録情報が不完全、ADR経由など)では、日本の配当課税相当の15.315%になるケースが多く、より敬遠される。
2. Wash Saleルールとは
米国には「Wash Sale(ウォッシュセール)」というルールがある。
これは、株を売ったあと、30日以内に同じ(または実質的に同じ)銘柄を買い戻すと、その損益は年の税金計算で使えなくなる。
損益が消えるわけではなく、買い戻した株の取得単価に加算され、将来売却したときに反映される繰り延べで、損益は最終的に完全に売却したときに実現するという形になる。
このため日本でよくやる、期末に評価損株を売って損益通算しようとする「タックスロス・ハーベスティング」は米国では、すぐに買い戻すと通用しない。30日以上空けるか、似た別銘柄に乗り換える必要がある。このルールを見落とす人がけっこう多い。
※ このルールは日本在住者が米国株を売買するときには適用されない
3. 米国在住者が売却益を抑える主な方法
米国では売却益(キャピタルゲイン)を圧縮するために、いくつかの方法が使われる。
長期保有を徹底する
1年超保有すると長期キャピタルゲイン扱いになり、所得に応じて税率が0%・15%・20%に優遇される(短期売買の普通所得税率で最大37%程度)。これは配当にも適用される。
損益通算(タックスロス・ハーベスティング)
評価損株を計画的に売却して利益と相殺する(Wash Saleに注意)。
税制優遇口座の活用
IRAや401(k)、HSA、Roth口座などを使い、課税を繰り延べたり非課税にしたりする手を使う。
値上がりした株をそのまま寄付する(売却益非課税+寄付控除)
4. 日本との違いで感じること
アメリカには「1年超保有すれば税率が優遇される」という明確なインセンティブがある。
長期で株を持ち続けて、配当を受け取る人が最も得をする制度になってる。明確に「短期売買はやめろ。長期で持て。そうすれば税金を安くしてやる」 というメッセージを税制で発信してる。
一方、日本の上場株式は保有期間に関係なく一律。
この差を知ると「日本にも長期保有を優遇する制度が欲しい」と感じる人も少なくない。
NISAという強力な非課税制度はあるが、「保有期間に応じて税率が下がる」仕組み自体は現在ないのが残念だ。

